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イプサムはT社が昨今のRVブームを見て、急遼マーケットに投入してきたクルマだが、感心したのは、さすがT社というべきか、あわてて出してもよく練られていたということだ。私はイプサムに乗って、T社はやはりものをよく考えているなと思った。

イプサムは誰でも乗れて、すぐに走れる、乗りやすいクルマだ。とくに驚いたのは乗降性のよさだ。
イプサムはステップが低く、かつシートも低く置かれているから、従来のミニヴァンのように、よっこらしょとばかりによじ登らずにすむ。乗用車に乗るのとまったく変わりがない乗降性である。
ほんとうによく考えられたクルマだ。普通のヒンジ式ドアを4枚持つ、5ドアのミニヴァンである。
イプサムの美点は、3列シートながら、シートを4ドアセダンとまったく同じようにレイアウトしていることだ。イプサムは3列目のシートはあるものの、そこへの出入りをよくしようと無理をしていない。
つまり、ふだんは2列目のシートをお使いなさいということなのである。私は、これにもう少し燃費のいいエンジンを載せさえすれば、パーフェクトだと思う。
イプサムを出してきたことで、T社はもうカローラに見切りをつけていることがわかる。イプサムは現代の、あるいは次世代のカローラといえる。
イプサムはカローラより高い192万〜259万円という価格帯にある。基本的にクルマというものは、値段の高いクルマであればあるほど儲かる。

私はイプサムと同じ日に、H社の新しいミニヴァン、ステップワゴンに乗った。この2台を乗り比べると、明らかにイプサムのほうが上であった。
ステップワゴンのオートマチック・トランスミッションのシフターはクォリティが低く、おしなべてシフトがスムーズでなかった。Dレンジからサードにシフトダウンしようとすると、セカンドのポジションに入ってしまう。
そこでサードに戻そうとすると、今度はDレンジに入ってしまうのだ。それはシフターの操作トルクが弱くてニュルニュルしているからではなく、重すぎるわりに節度感がないからである。
そのため運転していると、だんだんウンザリしてくるのであった。こういう点、ステップワゴンはイプサムに比べてクルマづくりが無神経だ。
私はこの2台を乗り比べて、イプサムのほうがずっと気に入った。イプサムのほうを推薦する。
じつに未来的だ。そのダッシュボードまわりは、コラムシフトにしてドライバーの足元を広くとりながらも、コントロール類が遠くなりすぎないよう中央に集めているため、ドライバーが取り囲まれるようなデザインである。
エスティマには2列目が2人、3列目が3人がけというキャプテンシート仕様がある。これは2列目がアームレスト付きで中央に通路がある独立シートになるものだが、これはなかなか座って気持ちのいいものである。

エスティマはミドシップなので、ハンドリングがいい。あたかもミドシップのスポーツカーのようである。
ただエンジンが床下なものだから、T社はヴァイブレーションと騒音対策には相当苦労したらしい。実際、エスティマは普通のクルマよりは少しうるさい。
エスティマの燃費はけっしてほめられたものではない。ミニヴァンは重いから、どうしても燃費が悪くなってしまう。
しかし、ミニヴァンは5〜6人が乗って走るものと考えれば、少々燃費が悪くても、ひとり頭に平均化するとそんなに高いものではなくなる。エスティマはT社が来るべきミニヴァン時代を想定して、凝りに凝ったレイアウトを与えて成立した2.40の後輪駆動のミニヴァンである。
登場以来4年目を迎えるが、依然としてその新しさを失っていない。たいしたクルマだ。
T社は本来、エスティマをアメリカ輸出を考えて作った。そのため、最初のエスティマは幅が広く、エンジンも大きなものが与えられた。
またボディデザインもアメリカ受けするようなモダーンなものである。T社はエスティマを日本マーケットでも売ったが、なかなか好評だということで、次にルシーダ/エミーナという、幅を狭めて5ナンバー枠にした日本向け仕様を作った。
これが大ヒットとなり、一時、エスティマは月に1万台以上を売った。エスティマの特徴は、エンジンを車体下部中央に置いたミドシップレイアウトにある。

エンジンをほぼ水平に近く寝かせてフロアパネルの下に収容しているため、オイルや冷却水などの注入口は長いパイプを通して、前まで持って来ている。私はエスティマのボディスタイルがどうしても好きになれない。
エスティマのレイアウトの欠点は、4気筒以外のエンジンが載らないことだ。V6はおろかストレート6も無理だろう。
フロアパネルを改造すれば、できないことはないかもしれないが、それには莫大な開発資金が必要となる。それにしてもミニヴァンに運転の喜びを与えようとするのはたいへんだ。
それには重心をうんと低くとらなければならないが、重心を低くすると、今度は床がフラットにならないという問題が出てきてしまうからだ。エスティマの功績のひとつは、T社がこのクルマをつくることで、それまでの商業車とミニヴァンのあいだにはっきりと線を引いたことであろう。
エスティマは日本にあまたあるRVのなかで、きわめて理想主義的なクルマである。もし、T社が次のエスティマを考えているとしたら、今度はミドシップレイアウトは採らないだろう。
なぜなら、このレイアウトは生産コストが高いし、設計の自由度も少ないからだ。エスティマには7人乗りと、8人乗りがあるが、7人乗りのほうが価格が高い。
それはキャプテンシートでシートのコストが高いからだ。私は乗せてもらうなら、このキャプテンシートだと思っている。

ただし、私が運転手役をつとめるのは、ごめんこうむりたいが。たしかにグランピアは静かに、乗り心地よく走るのだが、コーナーを少しでも速く走ろうとすると、恐ろしくロールして、スティアリングがブラシとする。
怖いクルマである。後輪サスペンションに一応セミトレーリングアームをおごってはいるが、もうこの形式の後輪サスペンションは古い。
またグランビアは車体がやたら重く、2t前後もあるため、ブレーキがちょっと甘いのも気になるところだ。T社はグランビアを計画したとき、まだミニヴァンとはどういうものか把握できていなかったのだろう。
少なくともミミニヴァンが乗用車でなければならないことがわかっておらず、商業車のスプリングを柔らかくして、室内を豪華にフワフワシートを与えただけなのだ。グランビアは温泉地の送迎用にはいいかもしれないが、とうていマイカーにするには向かないクルマだ。
値段も300万円前後と高い。出来がよくしかも200万円前後のイプサムとは比べものにならない。
グランビアは昨今のRVブームに乗って、そこそこ売れてはいるものの、私に言わせれば、現在T社が売っているミニヴァンのラインナップ中、いちばんダメなクルマである。イプサムが最高とすれば、グランビアは最低だ。
こんなクルマはやめたほうがいい。昨年登場した、2.74の4気筒エンジンを前に置き、後輪を駆動するミニヴァンである。
グランビァを一言で言うと、ミニヴァンのクラウンと言えようか。クラウンのような豪華な室内、ふわふわの乗り心地、そしてハンドリングを与えられたミニヴァンである。

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